ジュリアーノ熊代のポルトガル語奮闘記1

私の教室に長年通っている生徒さんでも忘れていたり知らなかったりするのですが、私は日本とブラジルのハーフです。

「先生ってアメリカ人じゃなかったんですか?」

「ハーフっぽいなーとは思っていたんですが。」

と時折聞きます。

初回のレッスンで確かに伝えているのですが人の認識とは不思議なものでコロっと忘れたりします。

何も責めていません。それくらい私の英語が自然でネイティブと思いたくなるのだと解釈しています。

というわけでポルトガル語というのは英語よりも私のアイデンティティに深く関わっているのですが、私はこれも喋れません。

しかし元々できなかった英語もどうにかなったしポルトガル語も頑張ればできるようになるのでは、と去年思い立ってポルトガル語の勉強を始めました。

すると思わぬ副次的効果がありました。

いずれまとめることになる「第三言語を前提とした英語」の発見です。

英語がある程度のレベルに達すると、第三言語を非常にシステマチックに捉えることが可能になります。

これは日本語を普通に話せるだけでは気づけないことです。日本語に対する考え方は私のメソッドでもとても重要なのですが、私たちは日本語をナチュラルにマスターしてしまっていて、言語の構造もコミュニケーションの仕組みも意識する機会がありません。

だから第二言語の英語が難しいんです、外国語と一緒に「言語の構造」も同時に学んでいるので。

ここから先の挑戦は自分のメソッドへの挑戦でもあります。

アルサス流は他言語にも応用できるのか、という実験です。

「私でも英語と、フランス語も喋れるようになるかもしれない」

と生徒さんに思って頂きたいし、チャレンジして頂きたい。

バイリンガルの時点で夢なのにトリリンガルなんて幻想、という方の背中を押してあげたい。

そのために身をもって「英語を活かした第三言語」の可能性を証明したいと思います。

それでは第一遍の始まりです。

第三言語を学ぼうという時、中国語でもアラビア語でも何でもいいです、

何から始めるべきでしょうか?

自己紹介?身の回りの言葉?

いいえ、be動詞です。

A=Bの言い方です。

日本語にはbe動詞という概念が存在しないから中学生はいきなりつまずくのですがbe動詞が存在する言語はとても多く、この文法さえ理解していればスムーズに学習を始めることができ、単語を覚えるごとに即使える状態になります。

be動詞の次に覚えるのは私、あなた、これ、それ、といった「もの」を指す言葉、代名詞です。

ポルトガル語ではこの時点で私は一度つまづきかけました。

なんとbe動詞が二種類も存在するのです。

「なにが二種類だ少ないじゃないか、英語のbe動詞はis am areの三種類だぞ」

そうではないのです、

「変わらないもの」と「変わるもの」の二種類です。それぞれに5つくらい違う形があります。

自分の名前や出身地は変わらないものなので、「変わらないbe動詞」で。

ところが体調や天気は変わるものですよね?こういったものに「変わるbe動詞」を使います。

少し難しいですか?

しかし英語をマスターしていれば「そういう仕組みなのか」と受け入れられるはずです。

なぜなら日本語の文法と根本的に違う英文法というものを一度乗り越えて会得しているのです。「そういうことになってるなら、そうしよう」と諦め慣れているはずです。なぜ変化するもの、しないものを分けたのか理解しようとしても無駄です。諦めて受け入れた先に上達があります。

現時点で私はポルトガル語において中学英語で言う中二の途中まで進んでいますが、新しい文法を学ぶごとに言えることが広がる感覚がまるでゲームのようで楽しくて仕方ありません。

初期段階で大事なのはとにかく早く過去形までたどり着くことです。これが無いと先週末とかの話が全くできないので、会話の経験値がとても積みにくいです。
英語を学ぶ私の生徒さんたちにも同様に感じてもらうにはどうすれば、と頭をひねっています。

また上達したら次を書きます